不老不死を求めた中国の錬丹術師によって発見されたのは、爆発を起こす「火薬」だった――。中国では、数百年間にわたり、火薬の製法は極秘とされ、数々の独創的な兵器が発明された。しかし、モンゴル帝国の拡張に伴って、アラブ、ヨーロッパへと伝わり、次第に戦争や植民地支配の材料となっていく。また、戦国時代の日本は、世界で最も急激に鉄砲が広まった特異な地域だった。戦争と背中合わせで、技術革新の中心にあり続けた火薬の歴史をたどると、近代へと至る世界の動きが見えてくる。『世界を変えた火薬の歴史』(原書房)の文庫化。【目次】プロローグ 一六〇五年一一月五日第1章 火の薬第2章 火薬の誕生第3章 発火装置と爆弾第4章 ロケットと砲第5章 西方へ伝播した中国の発明第6章 火薬とイスラム帝国第7章 ヨーロッパに伝わった火薬第8章 火薬の製造第9章 新たな火薬兵器第10章 火薬はいかにして近代ヨーロッパをつくったか第11章 火薬兵器がヨーロッパへ与えた影響第12章 アメリカ大陸とアフリカにおける火薬第13章 東洋の新たな火薬兵器第14章 火薬の平和的利用エピローグ 黒色火薬時代の終焉訳者あとがき