どれほど彼を愛していても、私は公爵夫人にはなれない……。
住み込みの家庭教師アビーは、公爵ランズドーン卿に反感を持った。娘を社交界に出したい彼女の雇い主が、遠縁の彼に後ろ盾を請うたのだが、彼の顔には貴族特有の礼儀正しい無関心が浮かんでいるのだ。社交界でも最上流の彼には、貧しい家の事情なんてどうでもいいのね!一方のランズドーン卿は、時代遅れの地味な姿をした家庭教師の歯に衣着せぬ物言いに面食らっていた。貧しい遠縁の娘を社交界デビューさせるなど面倒きわまりない。いや、しかし待てよ。いいことを思いついた。彼は社交界デビューの手助けをすることをアビーの雇い主に告げた。「ただし、一つ条件が……アビーにも社交界デビューをしてもらいたい」
■社交嫌いのアビーはランズドーン卿の突飛な提案をしぶしぶのむことに。初めは彼の高慢さに反発していたアビーも、気づけば彼の瞳に表れた知性や情熱、そして左頬に浮かぶえくぼに胸をときめかせるようになっていて……。必読のシンデレラ・リージェンシー!