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安倍晋三元総理が銃撃で斃れてから2年余りが経過した。この間、私が「安倍晋三」のことを思わない日は、一日たりともなかった。戦後生まれ、52歳で総理に就任し、私は2006年秋から非常勤国家公務員、さらに議員秘書としてお仕えしたが、さまざまな姿が走馬灯のように脳裡に甦る――。
「安倍さんは三度登板を決意していた」
しかし、その直後、凶弾に斃(たお)れた
「僕は命がけで政治家をやっているんだ」
ハイタッチで支持者の応援に応えるのは危険だ、と、秘書からの伝言を話した際の言葉。
今でも私の脳裡から消えることがない――。
「総理になることが晋三先生の宿命ですね」
再登板での総裁選勝利の晩、私の携帯が鳴った。
母上の洋子奥様からで「ねぎらい」の言葉をいただいた。
その時、とっさに私の頭に浮かんだのが、この言葉だった。
西山猛(にしやま・たけし)
1948年4月、東京都生まれ。71年3月、慶應義塾大学法学部政治学科卒。同年4月、毎日新聞入社。その後、政治部記者を経て、北海道支社長。2006年11月、第1次安倍内閣広報室調整官。07年12月から安倍晋三衆議院議員私設秘書。08年7月、安倍議員の公設政策秘書などを務める。著書に『政治とカネ』(共著。毎日新聞社)。