「日本の暦」は、世界一泣ける
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突然だが私は、田舎生まれである。
山に囲まれ、そこかしこに田園が広がり、電車は1時間に1本。
そんな地元が、好きになれなかった。
高校を卒業と同時に都会へ進出。
暮らし、働き、生きてみたけれど、
あれからときは経ち。
――私はいま、なぜかまた田舎にいる。
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地方で育った著者が、都会生活を経て、再び地方へ。
その中で生まれたのが、この本でした。
日本人が1000年以上使ってきた、
「二十四節気・七十二候」という暦。
たとえば、
・「東風解凍(とうふう、こおりをとく。)」
・「黄鶯けんかん(うぐいす、なく。)」
・「草木萌動(そうもく、めばえいずる。)」
など、生きもの、植物、雨、土、風に太陽……。
さまざまな季節の風景が、美しい日本語で表現された暦です。
この美しき暦の世界に、
「現代の美しい風景」と、「季節の和歌」を組み合わせました。
単に暦を紹介する本ではなく、言うなれば、「暦の文学」。
人々がどんな風景ととともに暮らしてきて、何を感じてきたのか。
自然ってすごい。
生命って美しい
日本という土地の素晴らしさにあらためて気づかされる1冊です。