ハライチ・岩井勇気さんも戦慄!「読んでる間、息を潜めてしまう。何かに見つかりそうで」
モヒカン怪談師が恐怖のあまり過呼吸を起こした最恐実話怪談集、ついに書籍化!
男は自分の呼吸が荒ぶり、速度が増していくことに抗えなかった。
吐息のように、小さく「くぅ……」という声が自分の喉から漏れる。
額には脂汗が浮かんでいた。まるで部屋の中の空気が薄くなったようだった……。
瘴気淀む街、新宿歌舞伎町に佇む怪談ライブバー「スリラーナイト」。
そこで夜な夜な自らが遭遇、蒐集した怪奇な話を披露している男が、モヒカン頭の怪談師・村上ロックだ。
その夜の舞台を終えた彼の前、一人の男性客が声をかけた。
「ロックさん、今のお話、すごく怖かったです。ところで、私の体験談を聞いていただきたいのですが……」
口を開き、とつとつと語り始めた男の話を聞きながら、村上ロックは息を吐くことも忘れていた。もう後戻りはできない。恐怖の扉はすでに開かれてしまったのだ……。
巡業先で、いつものライブバーで、友人づてに……。プロ怪談師だからこそ呼び寄せ、吸い寄せられた最恐実話を厳選。