すべての怪談ファンに捧ぐ、純粋に「怖い」を楽しむ聞き書き恐怖譚--------1990年代、体験者への取材を元とする聞き書き怪談のムーブメントが起きた。その火付け役となったふたつの怪談シリーズがある。西の「新耳袋」、東の「「超」怖い話」。同じ実話怪談、あるいは怪談実話と称されるジャンルにおいて、両者の色合いは面白いほどに異なり、それぞれのファンが議論を交わし、敵対するほどであった。長年ライバル関係にあると目され、けして交わることはないと思われていた両者の歴史が三十年の時を超え、今動く。令和六年。中山市朗(新耳袋)、「超怖い話」参戦――!実話怪談? 怪談実話?どうでもいい、これは「事件」である。震えるほど愉怪な事件だ。--------◆「新耳袋」と「「超」怖い話」を読んで育った怪談ジャンキー諸君へ。東西の横綱が三十年の時を越え一つの本に納まりました。純粋に「怖い」を楽んでほしい。こどもの眼で「不思議」に驚嘆してほしい。この世にはまだ見えないものが幅をきかせていて、だからこそ恐ろしくて、でも面白いんだと、うなずいていただけたら。◆「新耳」も「超こわ」も知らない多くの方へ。今から三十年前、それらの本が生まれた怪談ブームがありました。だからなんだという話です。でも、もしあなたが怖い話、それも体験者から聞いた生の怪談に興味があるなら、ぜひ。怪談を愚直に愛する三人が集めた全二十九話の怪。あなたの日常にぽつんと闇をお迎えいただけましたら幸いです。---------◆『新耳袋』とは木原浩勝と中山市朗の共著で、一九九〇年に第一巻となる『新・耳・袋 - あなたの隣の怖い話』を発行。その後、版元を変え一九九八年に『現代百物語「新耳袋」第一夜』として復活。以後、完結の第十夜まで続くシリーズは伝説であり、怪談界の金字塔となっている。◆『「超」怖い話』とは一九九一年に初代編著者は安藤薫平のもと、第一巻『「超」怖い話』を発行。以後、二代目・樋口明雄、三代目・平山夢明、四代目・加藤一、五代目・松村進吉と、編著者のバトンを繋ぎ、現在に至るまでシリーズを継続。不死身の怪談として、今年三三年目を迎える。◎特別解説 加藤一(「超」怖い話第四代編著者)収録