あらすじいつかの記憶の扉が開く。東京、大阪、上高地。3つの帝国ホテルを舞台に織りなす42の物語。クロークに預けたままの、亡父の荷物。夫の秘密がそこに――。開いた鍵の先に、妻が見たものは(「秘密を解く鍵」)半年に一度しか会えない小学校6年生の娘。ブフェに行くが、娘はなかなかマスクを外さない(「父と娘の小旅行」)窓から射しこむ朝の光、錆びた流し台にしたたる水滴の音――ホテルで眠る夜、どこかで出会った部屋たちの夢を見る(表題作)1行でこころ揺さぶられる、珠玉の小説集。