(「はじめに」より、一部抜粋)
生まれつき、左手指が2本しかありません。
右手の5本と合わせて、不恰好ですが、合わせてラッキーセブンの7本指。
これまで耳を塞ぎたくなる言葉をぶつけられた日や、
視線を受け止めきれない日もありました。それもまた人生です。
左手の障害を隠したかったとき、
やり場のない気持ちを受け入れ、守ってくれた場所が、左ポケットでした。
私には救いでもあり、同時にどこか虚しくもあった。
今でも、左のポケットに逃げ込むことがあります。
でも、今はもう悲しくなることはありません。
堂々とすることで得られる自由、隠すことで守ることのできる自由。
そのどちらも素晴らしくて、美しいという事実を、私は知っています。
きっと誰もが、やり場のない気持ちを胸に、ポケットに、今日を生きている。
ありのままの貴方が美しいのだというメッセージをこの本に託して。
昨日よりもほんの少し、貴方が自分のことを許せますように。
「自分のことが好きで、自分のことが嫌いな、世界に一人の貴方へ」