あらすじパリ。プールサイドに寝そべっていた「私=作者」は、見知らぬ中年女性の、軽やかにひるがえる手の仕草を見て、異様なほど感動し、彼女をアニェスと名づけた…。こうして生まれた「女」の、悲哀とノスタルジアに充ちた人生が、時空を超えて、文豪ゲーテと恋人の「不滅」を巡る愛の闘いの物語と響きあう。詩・小説論、文明批判、哲学的省察、伝記的記述など異質のテクストが混交する中を、現実と虚構、過去と現在、個人の運命と歴史が交錯し、軽やかに駆け抜けていくポリフォニック(多声的)な、壮大な愛の変奏曲。