「おそらく人類が『別のやり方』に最も近づいたのは、ハイエクとポラニーの強制結婚にケインズが祝福を与えたときだった。それは具体的には、第二次世界大戦後の北大西洋諸国において開発志向の社会民主主義という形で実現した。だが社会民主主義の下に構築された制度は、持続可能性テストに合格できなかった。代わって登場した新自由主義は、グローバルノースのエリートたちに向けて掲げた公約の多くを果たしはしたものの、望ましいユートピアへと賢く前進したかと言えば、そうではなかった」(本書「終章 人類はいまもなおユートピアに向かってのろのろと進んでいるのか?」から) 下巻は、第2次世界大戦後、米国を中心にグローバルノースが社会民主主義的な政策を軸に豊かな社会へと接近するが、永続できずに挫折。そこから市場機能を重視する新自由主義へと転回し、リーマンショックによる世界金融危機で挫折するまでを描く。