一座の未来に、自分の姿はあるか――
見習い黒衣の狸八は、肝心の場面でしくじってしまう。
裏方として舞台を支える中で見つけた、進むべき道は…
若者たちの芝居への情熱がほとばしる好評シリーズ第2弾。
元は大店の長子だが道を踏み外し狂言作者見習いとなった狸八は、芝居一座鳴神座に少しずつ馴染んでいく。平家物語の一節、那須与一が扇を射る場面を駆け出しの役者たちで演ずるにあたり、狸八が黒衣を務めることに。
矢を受けて高々と舞う扇を演出する役目だ。しかし初稽古に思わぬ落とし穴が……。
失態を犯し針の筵の狸八は、再び己の居場所を作るべく奮闘する。