「己を貫く強い人」か「融通が利かない頑固者」か?ジュリーの活動から「自己を更新する生き方」を考える。昭和、平成、令和と三時代を経て、世の中の価値観は大きく変わった。アナログからデジタルへ。競争社会から多様化の時代へ――。昭和時代に良しとされていた競争心や野心、責任感は、いまや下手をすれば「モラハラ」「パワハラ」と糾弾される。過度のプライドや「昔は良かった」的な過去の栄光に執着する成功体験は、もはやシニア世代にとって、取扱要注意の遺物となった。そんななか、現在も雄々しくステージに立ち、同世代だけでなく、若者からも喝采を受けるアーティストがいる。ジュリーこと、沢田研二さん。全盛期を過ぎた(と多くの人が思い込んでいた)彼が、2023年6月25日、世間の注目を集めることとなる。この日、彼の75歳の誕生日当日に行われていたのが『LIVE2022- 2023「まだまだ一生懸命」ツアーファイナル バースデーライブ』だった。会場となったさいたまスーパーアリーナのチケットは、1万9000枚が完売していた。WOWOWによるライブ中継も相まって、Twitter(現・X)には「#沢田研二」がトレンド入り。そのパフォーマンスへの賛辞と、興奮冷めやらぬツイートが途切れることはなかった。(プロローグより一部編集・抜粋)この時からさかのぼること5年、同じさいたまスーパーアリーナでのコンサートを観客動員数の少なさを理由に開始数時間前に中止したことは当時センセーショナルに報じられた。そこから見事な復活劇、そして、75歳にしてブーム再来。彼の活動の軌跡から、いくつになっても「現在進行形の人生」のあり方を考える。【内容紹介】プロローグ 「沢田研二」を読み直す第1章 全盛期に培った美学第2章 愛される理由第3章 トライ&エラーをいとわない第4章 老いを生きる・老いを楽しむ第5章 仲間とともに生きるエピローグ なぜ、ジュリーは許されるのか