こんな美しい日に、私は息子を殺すのだ――。建久10年(1199)、源頼朝と北条政子の間の息子・頼家が将軍職を継いだ。だが頼家は酒色に興じ、その期に乗じ、政子の弟・北条義時は頼家の側近の梶原氏の失脚を画策する。さらに北条家の危機を避けたい義時と政子の父・時政は頼家の排斥と実朝の将軍擁立を主張、政子は武士の府を守るため、自ら頼家に毒を盛り、最終的に頼家は謀殺される。頼朝亡き後、弟・義時とともに、多くの政敵を滅ぼしていく北条政子。“夜叉のごとき”苛烈さで幕府を守り抜いた政子を描く迫力の歴史巨編。解説=本郷和人