「ブラック」だったかもしれない――だが「熱」と「誇り」に満ちていた!
青春ドラマの金字塔『スクール・ウォーズ』にゆかりのある京都の“荒れた”公立中学校に赴任し、悪戦苦闘しながら人権教育、道徳教育、校長職に明け暮れた“伝説の教師”が駆け抜けた37年間の現場ノート!
昨今、教師の働き方が見直され、遅くまで家庭訪問をすることは少なくなったと聞く。部活動の時間が大幅に縮減され、勤務時間外に生徒と関わる場面も極端に少なくなったようだ。間違いなく、生徒と関わる時間は、私たちの時代とは比べものにならないほど減ってしまった。
「私たちの頃は……」と、昔のことをノスタルジックに語るつもりはない。しかし、教育の世界から学習指導や生徒指導に注ぎ込む「熱」と「誇り」とを決してなくしてほしくはないのだ。
教師という仕事が「ブラック」だと言われて久しい。労働時間に目が向けられてそう言われているのだとすれば、確かにそうかもしれない。しかし、教師がサラリーマン化し、生徒の内面や家庭に深く入り込んだ指導をしなくなったことで、あの頃の私たちが感じた“よろこび”を感じられていないとしたら、それが教職のブラック化の原因の一つになっているのかもしれない。そして、もしそうであれば、それは日本の教育にとって、そして、今後の日本社会にとって大問題である。(「はじめに」より)