由布鷹正――鬼。少年を殺人鬼に変えたものとは。
少年は母親と二人、各地を転々として暮らしていた。
荷物は最小限。宝物は国語辞典、DVDプレーヤーとDVD。
たまに父親が姿を見せた。「普通」の少年ではなかった。由布鷹正には角があった。少年と両親は鬼だった。
ある日「人間」たちが牙を剥く。父を殺され、母とともに監禁されて、少年は身も心も壊されてしまう。
環境保護団体アーシアンズの襲撃によって囚われの身から脱し、幽閉中に母が産んだ妹、郎女(いらつめ)と再会を果たすが、彼の心に穿たれた穴はどこまでも深く、暗く――。
巻末に電子限定書き下ろしSS「世羽独食録3」も収録!