王宮薬師であるフェリシエンヌはクロヴィス王子が、第一王位継承者として指名される叙任式に同席していた。
厄介な存在として敬遠される獣人であるクロヴィスのため、王宮薬師の代表たちが揃っていたのだ。
フェリシエンヌは儀式が恙無く進行したことに安堵し、宮殿の研究室に戻って一息ついていると――。
クロヴィスがいつもと同じように顔を見せたのだが、いつもとなぜか雰囲気が違っていて――?
「フェリ。何回でも言う――好きだよ」
甘い声でそう告げられたフェリシエンヌは彼にぎゅっと抱きしめられる。
心から想っているクロヴィスからのプロポーズと共に極上な一夜を過ごすことに……。
翌朝、彼の将来を考え、重荷にならないために姿を消すことを決めたフェシリエンヌ。
辺境の村へとたどり着いた彼女はそこで静かに暮らしていた。
それから五年後、クロヴィスと再会を果たすのだが、彼女の元には獣人の子供がいて――!?