警察組織は、少数のエリート(キャリア)による一党独裁。警察学校からはじまる洗脳教育。組織の命令には絶対服従するように訓練され、反論することをいっさい許さない。知らず知らずのうちに管理されることがあたりまえで、この社会に見放されたら生きていけないのだと思い込まされるのである。(本文より)
桶川ストーカー事件から栃木のリンチ殺人事件まで、相次ぐ警官の失態によって、何人もの死者がでてしまった。キャリア制度の実態、現場感覚を無視した官僚主義など、元警察庁巡査部長が事件の背後にある堕落の構造を解明する。
第一部 警察不祥事の裏側――現場踏査で判明した捜査の失態
栃木県警はなぜ、リンチ恐喝を放置していたのか〈栃木リンチ殺人事件〉
埼玉県警はなぜ、主犯を野放しにしたのか〈桶川ストーカー殺人事件〉
京都府警はなぜ、容疑者をその場で拘束しなかったのか〈京都小学生殺人事件〉
山口県警はなぜ、バスを先送りにしたのか〈バスジャック事件〉
事件への対応を遅らせた真相は何か〈名古屋五千万円恐喝事件〉
熱血警官はなぜ、免職になったのか〈長野の警察官拳銃不正使用事件〉
第二部 堕落の構造を解き明かす
もうこんな組織とはおさらばだ〈私が警察官を辞めたわけ〉
洗脳と服従がつくりあげた独裁体制〈恐るべきキャリア制度の実態〉
ロボット警察官はどのようにつくられるか〈警察学校での洗脳教育〉
実務能力主義を標榜する警察の大ウソ〈昇任試験制度のカラクリ〉
縄張り争いが生む醜い人間関係〈所轄(セクショナリズム)の弊害〉
秋田県警はなぜ、民間人にまで監察をおこなったのか〈監察制度の悪用〉
おわりに〈警察は立ち直れるか〉
●黒木昭雄(くろき・あきお)
1957年、東京都生まれ。親の代から警察官で、1976年から1999年までの23年間、警視庁に勤める。在籍中は23回もの警視総監賞を受賞した。退職後は捜査するジャーナリストとして、警察内部の様々な問題や世間を騒がせた事件などを独自の視点で取材。著書に『警察腐敗 警視庁警察官の告発』(講談社)、『神様でも間違う』(インシデンツ)など多数。