チャットGPTの登場により、「人間の仕事はいよいよ人工知能(AI)に奪われるのではないか」という懸念が広がっている。たしかに既存の仕事の多くはAIの影響を受け、なかには取って代わられるものもあるかもしれないが、それは本質的な問題なのだろうか。本書では、日本のAI研究を牽引してきた筆者がAIの進化の歴史を踏まえ、今後の社会や産業構造の変化について述べる。チャットGPTの普及は、人間や組織の行動原理を解明し、それによって人間と機械の境界を曖昧にしていくだろう。これまで技術の進歩とともに仕事が変化し、新しい仕事が生まれたように、AIには新たなビジネスを生み出す無限の可能性がある。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2023年7月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。