伯爵令嬢リュシーが暮らすスフェール王国は、自由恋愛での結婚を推奨しているという特異な国だ。たとえ貴族令嬢であっても、自らの恋愛力で結婚相手を見つけてくる必要がある。だからこそ、社交界デビューはとても大事な場。人目をひき、将来の結婚相手にアプローチができる絶好の機会なのだから。しかしリュシーは夜会デビューで大失敗を犯す。その原因は、若い異性に慣れていないことだった。このままでは結婚相手が見つからず、将来独身の可能性が濃厚だ。そんなリュシーの前に現れたのは、隣国からやってきた訳アリ美青年シルヴァン。リュシーは父の計らいで、シルヴァンに恋のレッスンを行ってもらうことになる。一見して冷たい印象のシルヴァンだが、彼は気遣いに溢れる優しい男性だった。恋のレッスンを重ねていくうちに、ふたりはゆっくりと、確実に心の距離を詰めていく。しかしそんな折、シルヴァンが帰国することになってしまった。リュシーは自らの想いを伝えようと決意するのだが……。