公爵令嬢ルシルは第一王子シェザードと婚約しているが、今までは他者を拒絶するような態度をとる彼に近づくことができず、ずっと第二王子アルタイルに頼ってばかりいた。女神の温情により1年前に戻ったルシルはシェザードと気持ちを通わせることができたが、周囲の者から二人の王子を惑わしているという悪評を立てられてしまっていた。
他の公爵令嬢や騎士団長の息子などから言いがかりをつけられる中で、ルシルはシェザードに対して愛情を伝えることで誤解を解くことができたのだ。
これまでは、シェザードに本当の気持ちを伝えてしまえば未練になると黙っていたのだが、素直な気持ちを伝えることでルシルは幸せな気持ちになり、シェザードもまた、ルシルを深く愛してくれるようになったのだった。
しかしルシルは、自分の命が残り少ないことをシェザードに伝えられずにいた。ルシルは来年の春には女神の元に召されてしまうことが決まっているのだ。
そんな秘密を抱えたまま学園が夏期休暇になり、ルシルはシェザードと共に公爵家に戻った。家族に出迎えられて、二人で穏やかな日々を過ごしていたある日、観劇に出かけた帰り道でかつて王都の路地裏で出会ったヴィクターの罠にかかり、ルシルは攫われてしまった。
シェザードはルシルを助けるため、不仲だった弟アルタイルに助力を頼もうと王都へ駆ける―ー!
※電子書き下ろし番外編に2作を収録。
『女神から与えられた余命一年で闇落ち予定の婚約者を救います(2)【分冊版】3』には『フラストリア家での日々』~『ヴィクターあるいはヴィクトル・レイル』(前半)までを収録