自衛官の定年は一般企業、他の公務員よりも早い。年間6000人の退職者の大部分が55歳前後。超エリートたちだけは大企業顧問、研究機関の長、大学、メディアなどで活躍できるが、そのほかの自衛官は「幹部」(3尉以上)といえども、厳しい現実と向き合わなくてはならない。自ら起業したり、資格を活かすなどして充実したセカンドキャリアを歩む者も多いが、慣れない営業に苦労し、民間との意識の違いに戸惑い、やりがいを見いだせない仕事に気持ちが沈み、これまでの経験がまったく活用できずに悩みつづけるケースも非常に多い。防大出身の著者ならではの視点で彼らの「セカンドキャリア」を追う。【内容の一部】大企業顧問で「仕事なし」の元陸将営業で結果を出せず打ちのめされた元海将補地方自治体の防災意識の低さに愕然とした元1佐「自衛隊は街の便利屋じゃない!」と嘆く元1佐航空機部品の価格をはじめて知った元2佐損保会社で事故の示談交渉に奮闘いきなり下っ端の二等航海士からスタートの元2佐まったくつぶしがきかない元戦闘機パイロット夜勤守衛、工事車両誘導、ビルの清掃などに奮闘やりがいを探し続けて繰り返す転職定年とともに燃え尽き、鬱病を発症ほか【著者プロフィール】松田小牧 (まつだ・こまき)1987年、大阪府生まれ。2007年防衛大学校に入校。人間文化学科で心理学を専攻。陸上自衛隊幹部候補生学校を中途退校し、2012年、株式会社時事通信社に入社。社会部、神戸総局を経て、政治部に配属。2018年、第一子出産を機に退職。その後はITベンチャーの人事を経て、現在はフリーランスとして執筆活動などを行う。近著に『防大女子 - 究極の男性組織に飛び込んだ女性たち -』(小社刊)。発行:ワニ・プラス発売:ワニブックス