日本人にとって「いいとも!」とは何だったのか?国民的人気番組で司会者タモリが媒介したテレビと戦後民主主義の歴史的邂逅――1982年から2014年まで約32年間にわたり放送された国民的人気テレビ番組『笑っていいとも!』。戦後の闇市から発展した新宿でスタジオアルタを拠点とし、タモリが司会を務めた、いまだ語り継がれるテレビ番組である。司会者タモリおよび『いいとも!』を考察することは、テレビのみならず戦後日本社会を考察することにもつながる。それは、現在のネット社会におけるテレビの可能性をも浮き彫りにさせることになるだろう。衝撃のグランドフィナーレから10年を迎える今、改めて『いいとも!』とは何だったのかを問う。◆目次◆第1章 「密室芸人」タモリが昼の司会に抜擢された理由第2章 「テレフォンショッキング」という発明第3章 「国民のおもちゃ」を演じたタモリ――「仕切らない司会者」と「無」への志向第4章 視聴者を巻き込んだテレビ的空間――芸人と素人の共存と混沌第5章 聖地・新宿アルタ――「流浪のひと」タモリが新宿で芸人になった理由第6章 『いいとも!』と「フジテレビの時代」――80年代テレビの熱狂と冷静のあいだ第7章 『いいとも!』と「お笑いビッグ3」――タモリ、たけし、さんまの関係性第8章 『いいとも!』の個性的なレギュラー陣たち第9章 SMAPが『いいとも!』にもたらしたもの第10章 「グランドフィナーレ」を振り返る――なぜテレビ史の伝説となったのか終章 『いいとも!』は、なぜ私たちのこころに残るのか?――戦後日本社会とテレビの未来