祖父が死んだ――二億の遺産と、一人の少女を遺して。高校生の詩音(しおん)は高圧的な父に反抗し、孤独に生きてきた。しかし祖父の遺言で五歳の少女・龍音(りと)の面倒を見ることに。隠し子と噂される龍音は、遺言では《龍の子》とされていた。他人に頑なな詩音と感情に乏しい龍音。ぎこちない共同生活の中、二人は次第に歩み寄っていく。だが龍音が人ならざる力を使う場面に遭遇し、詩音は戸惑う。《龍の子》とは・・・・・・真実を求め紐解いた祖父の手記には、龍音の使命が記されていた。不思議な少女と、世界の秘密に出会う、ひと夏の物語。