今日でも企業における学習は非常に重要なものだが、1991年に発表された本書は、学習におけるジレンマについて論じたものである。学習に最も長けていると誰もが考えている人々──高学歴で高い能力を持ったコンサルタントなどのプロフェッショナルたち──が実は学習が苦手だというのだ。それは彼らが順調な人生を歩んできたがために失敗を経験せず、そこから学ぶ方法を習得しなかったからだとクリス・アージリスは指摘する。うまくいかないと責任を他者になすりつけ、自分を守るための防衛的思考に陥ってしまう、こうした「賢い人たち」に学習を身につけさせるにはどうすればよいか。彼らの思考回路を解説し、対策を論じる。*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2023年6月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。