突如、筆頭老中・阿部正弘が呼び出しを受け、御広敷役として大奥の粛清を命じられた桂修理之亮──。
阿部の姓を戴き、千二百石の大身旗本となった修理之亮は、大奥出入り自由の身となり、御年寄・瀧山の信頼も得ることになった。だが老中が急死、後ろ盾を失ってしまう。
そんな修理之亮を救ったのは、彦根藩主・井伊直弼であった。ペリー来航以来、大きく揺らぐ幕政において、先進的な考えをもつ二人は意気投合。直弼は自分の手足となって働いて欲しいという。大奥もその実力と権威を認めつつあった直弼はついに大老に就任。そして、修理之亮の未来も開けたかに思えたが……。
果たして若侍は、懇意となった火消しや札差、宿下がりした中臈とともに、失墜する徳川家を守り抜けるのか!