愛おしき人々たちのお話
ほんの少しだけ昔の、
身の回りに溢れているのは自然の音だけの場所に住む、
生きることにとても真摯だった人々のお話でした。
着飾っていなくても素直な素朴さがとても可愛らしい花ちゃん。
鴨居に鼻をぶつけるくらい巨大だけど、
心優しき軍人の誉さん。
おとうもおかあもおばあも。
そして、主要登場人物を取り巻く人々も、
皆がとても心温かな人々の世界でした。
リアルな現在の世界の不穏な動向の中にあって、
軍人さんが御相手役のお話だと、
どうしても以前の悲しい歴史が影を差してしまうのが切ない。
二度と過去の不幸を繰り返してはならないと心に刻みながら、
花ちゃんの幸せを祈りながら、
誉さんの無事を祈りながら、
愛おしき市井の人々の暮らしを見守っていきたい。