「卒業おめでとうございます。伝えておきたいことがあります。先輩のことが好きです」――高校時代、同じ弓道部の先輩・沙智に惹かれていた宗志郎。でも、想いを綴った手紙を渡すことはできなかった。それから十一年以上が過ぎ、弓道師範となった宗志郎は、道場で沙智と再会する。少女のころの面影を残しながら、どこか陰のある沙智。再び弓を執った彼女の射には、悩みや迷いが透けて見えた。宗志郎は沙智を誘って母校の弓道場を訪れる。思い出話をきっかけに、宗志郎は沙智に惹かれる自分に気がついた。沙智に想いを告げる宗志郎だが、沙智の答えは……。高校時代のピュアな初恋と、時を経た2人のオトナの恋が、甘く切なくクロスする。