伯爵家の令嬢レイチェルは、母が亡くなった後、錬金術師の父親も失踪したので当主となった弟を支え、家が没落しないように父親から学んだ錬金術で仕事をして、なんとか伯爵家を存続していた。
そんなある日、レイチェルに公爵家次期当主のエドガーから縁談が舞い込む。
分不相応な結婚に疑いつつ、家のことを考えてレイチェルはその縁談をうけることにした。
仕事で王宮に出入りするエドガーは日々多忙だが、レイチェルに優しく、実家の伯爵家に援助もしてくれている。
レイチェルへの気遣いも完璧で、二人きりになれば甘く蕩かされ、言葉でも体でも愛されていることを実感させてくれた。
レイチェルは、いつの間にかそんなエドガーを好きになっていた。
しかしある夜、エドガーが近衛兵と密会していることに気がついたレイチェルは、どうしても内容が気になって話を盗み聞きしてしまう。
なんと、エドガーがレイチェルの失踪した父親を探しており、さらにはレイチェルの父親は殺人犯だという話で――!?
愛されていると思っていた時間は、エドガーにとってはただの仕事だったということ。
困惑と動揺がレイチェルを襲うが、犯罪をおかしたのであれば娘である自分を利用して捜索されるのは仕方がない。
それに、エドガーが父親を捕まえてくれれば再会することもできるはず……。
レイチェルが聞いていたとは知らないエドガーの態度は変わらず甘いが、嘘の溺愛に気付いてしまったレイチェルが選んだ道は――。
『没落伯爵家のご令嬢は、嘘の溺愛に気付かないふり(2)』には「四 父の手帳」~「八 欠点」までを収録