日本刀は武士が興隆した平安時代に成立しましたが、国内統治が未発達な状況の中で各地に政権の支配を望まない者や盗賊の類も多く、それらは鬼と呼ばれ人々は恐れました。そんな鬼を倒したのが武士たちであり、鬼切伝説も生まれたのです。そこで第一章では、鬼の首魁・酒呑童子を切った「童子切安綱」「鬼切安綱」をはじめ、坂上田村麻呂の「黒漆剣」、藤原秀郷の「蜈蚣切」などの名剣伝説を紹介。第二章では「乱世を彩った名刀」と銘打ち、足利家の宝刀「大典太光代」、上杉謙信の「謙信景光」、足利義輝の「三日月宗近」、織田信長の「へし切長谷部」、豊臣秀吉の「にっかり青江」、徳川家康の「ソハヤノツルキ」など名刀と物語をお届けします。
表紙
巻頭特集 鬼を切る刀
童子切 源頼光
鬼切丸 渡辺綱
蜈蚣切 藤原秀郷
目次
第1章 名剣誕生伝説と武人たち
国家形成の中で生まれた独自の剣 日本刀の誕生
伝説の裏にある、鬼たちの真の姿とは? 鬼を生んだ時代背景
蝦夷を攻め、反乱者を倒し、鬼も討つ 坂上田村麻呂と剣 騒速/坂上宝剣/黒漆剣
平将門を倒した男は、蜈蚣も切った 藤原秀郷の太刀 毛抜形太刀/蜈蚣切
並み居る武門の中心に成長していく 源氏累代の名刀 薄緑(膝丸)
鬼族との激闘伝説を残す、平安鬼切隊 源頼光とその四天王 童子切安綱/鬼切安綱
鬼切隊 人物紹介 1 源頼光/2 渡辺綱/3 坂田金時/4 碓井貞光・卜部季武/5 藤原保昌
錦絵で見る 酒呑童子物語
中臣鎌足に始まり、摂関家へと隆盛を極める 藤原氏の宝刀 小狐丸
八幡太郎の名で知られる伝説的武将 源義家の太刀 天光丸
平清盛にも信頼された源氏の重鎮 源頼政の名刀 獅子王
栄枯盛衰、壇ノ浦に滅んだもう一方の武門 平家の宝刀 小烏丸
奥州に消えた悲劇の名将とその郎党 源義経主従の名剣 今剣/岩融
武家政権成立時の仇討ち物語 曽我兄弟と名刀 薄緑丸/微塵丸
強権と善政の5代目執権 北条時頼と鬼の伝説 鬼丸国綱
数度の流罪に遭った日蓮宗の宗祖 日蓮の護り刀 数珠丸
蒙古襲来と揺れる鎌倉幕府 北条氏の刀 北条太刀
刀剣の基礎講座 刀剣の基本がざっくりわかる 刀剣の名称と特徴
日本刀の発展に大きな足跡を残した? 後鳥羽上皇と御番鍛冶 久国
日本刀に欠かせない「たたら製鉄」の今 継承される作刀の文化 黒刀・月下の笹( MOONSASA )
第2章 乱世を彩った名刀
源氏の棟梁を争う、二家の名刀 足利尊氏と新田義貞 二つ銘則宗/大典太光世
南北朝争乱に雄飛した悪党 楠木正成の太刀 小龍景光
室町幕府の混乱と剣豪将軍 足利義輝と名刀 三日月宗近/大般若長光
源氏の名門を継いだ甲斐の虎 武田信玄の名刀 来国長
越後の軍神は関東管領の職を継ぐ 上杉謙信の名刀 謙信景光
海道一の弓取り、桶狭間に敗れる 今川義元と刀 義元左文字
天下統一に進む中、名刀の運命は? 織豊政権と刀 へし切長谷部/はばき国行/にっかり青江/大包平
戦国サバイバルの勝者に名刀が集まる 徳川家康と名刀 ソハヤノツルキ/明石国行/江雪左文字
海外でも有名になった妖刀伝説 徳川家と村正 村正
刀を愛した奥羽の独眼竜 伊達政宗の名刀 燭台切光忠
幕末を駆けた新選組局長 近藤勇の名刀 長曽禰虎徹
五稜郭に散った新選組副長 土方歳三の名刀 和泉守兼定
回天事業に奔走した快男児 坂本龍馬の佩刀 陸奥守吉行
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