これは近年の中国で起きた
「フツーの事件」です
もし小説にしたら「作りすぎ」と酷評されそうな話の数々。
でもこれら刑事事件の顛末を読み進むうちに覚える
「中国社会の理不尽」とそれに振り回される中国人の切なさ。
芥川賞作家・楊逸が小説を超えた新ジャンルで浮き彫りにする「中国社会のリアル」。
事件1 「愛人職」を狙った女子大生の代償
事件2 俺は大富豪の息子のはずだ !
事件3 車のナンバーのために繰り返された離婚、結婚
事件5 「夫人営業」の悲しき結末
事件7 「令嬢」は玉の輿を狙ったが・・・
事件10 兄の愛人を妻にさせられて
事件11 シャトーマルゴーに壊された人生 ほか
人類史上初めての「一人っ子社会」中国では「もう欲望が止まらない!」
<著者より>
「中国人である自分は、自省するつもりで、長いこと同胞を鏡にして我が姿を映しては、
見つめ直す作業をしてきました。権力至上や拝金主義のはびこる中国に暮らす人々には、
詐欺や欺瞞であろうともどん底から這い上がろうとする以外道は残されていないのです。
私もその境遇にいたらと思うと、背筋に冷や汗が走ります。
私は逃れられました。幸運でした。でも幸運に胸をなで下ろすだけでいいのでしょうか?
外の世界の皆さんに、中国人の大変さ、切なさも知って欲しいのです」
<楊逸(ヤンイー)プロフィール>
1964年、中国ハルビン生まれ。87年、来日。95年、お茶の水女子大学文教育学部卒(地理学専攻)。2007年、『ワンちゃん』(文春文庫)で文學界新人賞受賞。08年、『時が滲む朝』(文春文庫)で日本語を母語としない作家として初めて芥川賞受賞。他の作品に『金魚生活』(文春文庫)、『すき・やき』(新潮文庫)、『あなたへの歌』(中央公論新社)他多数。共著に『中国の暴虐』(ワック、櫻井よしこ氏、楊海英氏)などがある。現在、日本大学芸術学部教授。