目の前で執り行われているのは、かつての親友と、自分が恋をした男性の結婚式――。
子爵令嬢であるハリエットは十五歳から四年間貴族が通う、王立学校の二年生。
入学式の際、迷子になっていたメアリーを助けたことがきっかけで彼女とはあっという間に親友と呼べる仲になっていた。
ハリエット達が一年生のある日、困っていたところを二人の男子生徒に助けてもらった。
メアリーの兄、マイルズとその同級生のニコラスだ。
ハリエットは優しい雰囲気のニコラスに一目惚れし、上の空になってしまう時間が増えていたのだが、それに勘付いたメアリーが二人の仲を応援すると言って、四人での昼食の約束を取り次いでくれた。
それからは四人で過ごす時間が増えたのだったが、ハリエットは何か違和感を覚え始める。
それは、応援すると言ってくれていたメアリーが、ニコラスと二人だけで会話をしている時間が増えていたことだった。
四人で居るのに、ペアが二つ。
そんな時間が日に日に増えていく。
そして、一年生も終わろうとしていた時期にメアリーに呼び出されたハリエットは、ニコラスと婚約することになったとメアリーから告げられた。
そうして結婚式に参列したハリエットだったが、心から親友を祝うことは出来ない。
せめて二人の幸せを邪魔せぬようにと、式が終わった後は黙って帰ろうかと思っていたのだが、メアリーに呼び止められ謝罪を受けるハリエット。
否が応でも謝罪を受け入れなければならない雰囲気だったが、その時に助けてくれたのがメアリーの兄マイルズだった。
彼もまた、メアリー達に振り回されていた被害者だったのだ。
気まずさもあってマイルズにしっかりしたお礼も言えなかったことが心残りだったハリエットだったが、それから二年がたち最終学年に。
就職活動のため王宮の見学会に参加したのだが、案内してくれる彼は容姿が変わっているがどうも知っている人物のようで……?
彼は髪の毛の癖や色、瞳の色が以前と全く変わって別人のようになっているが、間違いなくマイルズだった。
どれだけ見た目が変わっても、運命の相手は見つけることが出来る物語――。
『親友に好きな人を奪われた私は運命の相手を見つけることができました(3)』には「二章 聖槍の国への深入り 王女の事情」(後半)~「終章 私は幸せな結婚をしたい 私たちの結婚式」を収録