物語性で人を惹きつけ、考察の渦に巻き込んだ人気曲を、自ら再解釈し小説を執筆。大ヒット曲「トラフィック・ジャム」「紗痲」「ナイトルール」の3曲のテーマから創られた物語を一冊にまとめた、煮ル果実の世界観に迷い込める短編集。◎「トラフィック・ジャム」社会の歯車として味気ない生活を送っていた男の世界は、自身が起こした交通事故を境に一変する。襲ってくる人々の目に浮かんでいたのは、黄色と黒の警告色であった。◎「紗痲」女子刑務所に収容された少女は、同室の蛇女の課す試練を乗り越え、仲間として迎え入れられる。ある出来事を機に確かな主従の関係を結んだ二人は、ひとつの計画を企てる。◎「ナイトルール」18時から24時迄を繰り返す世界に閉じ込められた男は、彷徨い歩いた末に、一人の少女に出会う。彼女とならこの夜を生き抜ける、初めてそう感じた矢先、彼女は夜に取り込まれる。※「ナイトルール」は、著者が過去にホームページにて公開した小説に、加筆修正を施し収録しています。■出版社からのコメント「生きていて良かった」煮ル果実さんの小説を初めて読んだ時、率直にこう感じました。流麗で詩的な文体と、社会に向けるシニカルな視線。それでも溢れ出る、人生への肯定感。加えて、物語の展開が本当に面白く、本書が果たして初著書なのか、実はもう小説家なのではないかとずっと疑っていました。それくらい豊かな文才で、音楽で表した激情を小説にも載せられる、稀有な存在です。煮ル果実さんの記念すべきデビュー作、心してご覧下さい。