小野高志は還暦の歴史小説家。古びた自宅の建て直しを考えていた。裏庭にある空井戸も埋め立てなければいけない。そんなことを考えていると、喜世美と名乗る怪しげな女性に誘われ、井戸が黄泉の国に繋がっていることを知る。長い黒髪を乱し、黄色っぽい着物姿の彼女は、20歳ばかりに見え、何とも見目麗しい美女だった。「あなたに、この世とあの世を行き来して、淫魔大王を手伝ってほしいの」。そう頼まれた高志は、喜世美相手に淫靡な時間を過ごし、その頼みを承諾。閻魔大王ならぬ、淫魔大王と会い、地獄行きにする人間の選別を手伝うことに。犯罪未満の人間に「地獄に落ちろ」と告げると、彼らは疑われない形で死を迎え、地獄送りになるという。代わりに精力が倍以上になり、男の魅力が増した高志は、まず黄泉の世界の美女たちに囲まれ、夢のような時間を味わうが……。