“伝統”と“革新”—−甲子園を沸かせた名門野球部の現在地伝統校の監督&選手たちが作る新たな歴史の1ページ【紹介文】野球留学で全国から有望選手を募りチームを作る私立の「強豪」が、甲子園の覇権を握るようになって久しい。しかし、地元から受験し入部した球児で戦う公立の「古豪」復活を待ち望む高校野球ファンは多い。本書では、知名度、人気ともに高い公立の甲子園常連校6校に取材した。どの高校も今はやや苦戦しているものの90年代中頃までに大きな実績を残した高校だ。6校の監督は、伝統の重みに苦しみながら、昔とは気質が違う「イマドキ」の選手に戸惑い、新しい練習方法に試行錯誤して、選手と己の限界に挑んでいる。 しかし、その苦しみや悩みこそが、「古豪」の強みであり、甲子園に波乱を巻き起こす見えない力となる。伝統を力に変えることができるのはどの高校か。 「古豪」の古つわものの底力を甲子園で見られる日が待ち遠しい。 (はじめにより)【構成】◎県立前橋商業高校(群馬県)~選手が掲げた目標は全国ベスト8 一日一日の意識と姿勢が大切~勝てるチームは、手を抜かないで取り組むチーム。伝統校のプライドを大切に、勝つための最善策を選択していく。◎市立横浜商業高校(神奈川県)~スローガンは「ベストラン」 伝統の「Y」のマークを胸に挑む夏~ランナーが主導権を持って積極的に走るチームへ。「ランエンドヒット」の徹底が勝利への鍵。◎県立箕島高校(和歌山県)~失敗から何をイメージして練習するのか 選手が自分で考え動く野球へ~物事の本質を理解しなければ身につかない。「そんなに熱くなくてよい」という尾藤監督の指導方法。◎県立広島商業高校(広島県)~チーム一丸の力は計り知れない 脱落者をださないチーム作り~スパルタ練習で名を知られた広商の変化と変わらない伝統力。じっくり鍛えたチーム力で夏に挑む。◎県立松山商業高校(愛媛県)~夏のために「無形の力」を養う 体力トレーニングのみの年末合宿~甲子園出場42 回という実績が燦然と輝く伝統校。継承されてきた野球の神髄を武器に100 回大会を目指す。◎県立熊本工業高校(熊本県)~伝統的な基礎の反復で土台を作り その上に最新の知見を活かす~目標設定を明確にして一つ一つクリアする。2017年春の選抜出場をバネに「勝ち」を繋いでいく。