美保は四十路を迎えたが未だに独身。ひたすら地道に生きてきた。小柄でぽっちゃりした美保は今どきの美人ではないが、純朴そうで親しみやすいようで、それなりに男性は近づいてきた。しかし、結婚を夢見ることができなかったのは父親のせいと言えるかもしれない。父親は美保が子供の頃に自殺。ショコラ・サイダーという飲み物の紙パックを残し、緑色の長い髪のカツラを被り、女物のひらひらした薄水色のミニのワンピースを着て死んでいた。遺族は同情されてもいいはずなのに、その女装を理由に美保はいじめられ、深夜のお色気TV番組『変態オタク倶楽部』のタイトルをそのままあだ名にされた。母も水商売や風俗で働いて、美保を育ててくれたが若くして病死している。性的な知識を身につけるにつれ、父が変態で首絞め自慰プレイ中に事故死したと考えるようになった美保は……。