初老の男・佐柳は、遊郭が全焼した場合に臨時営業が許される仮宅の近くにある茶屋で、ひたいの汗をぬぐっている中年増を見かけ、その色香に惹かれる。それは、かつて吉原の遊女だったお光だった。吉原ではいったん遊女を買うとほかの遊女を買うことはできないきびしい決まりがあったため、お光を抱くことができなかったこともあり、佐柳はその憧れを再燃させるが場所がない。そこで一計を案じる。それは仮宅の妓楼にあがって女を買い、遊女がやってくる前にお光を寝床に忍び込ませるというものだった。だが、松島という若い花魁が先に姿を見せると思わず……。