時は江戸末期。彰義隊の隊士辰之助と、柳橋の芸者夕霧は、互いを想いつつも伝えることができずにいた。辰之助が属する彰義隊は、薩長主体の新政府軍に対して形勢が不利となりつつも根強く抵抗していた。夕霧は、大店の旦那からの身請け話をかたくなに拒み続けている。そうした互いの頑固さに惹かれ合うふたりだったが、それ故に距離を縮められずにいたのだ。いよいよ明日、彰義隊が政府軍相手に戦うという日の夜、ふたりは今生の別れと、火照った身体強く抱き合わせた。その瞬間、これまでの募ってきた想いが弾けるように決壊し、激しく互いを求めて…。