あらすじ残虐な事件が起こるたび,その〈悪〉をめぐる評論が喧しい.しかし,〈悪〉を指弾する人々自身は,〈悪〉とはまったく無縁なのだろうか.そもそも人間にとって〈悪〉とは何であるのか.人間の欲望をとことん見据え,この問題に取り組んだのがカントだった.本書では,さまざまな文学作品,宗教書などの事例を引きつつ,カントの倫理学を〈悪〉の側面から読み解く.