あらすじ漢詩が,殊に簡潔で締まった句が好きだ,といっていた漱石は,みずからも折々に漢詩を書き,『明暗』執筆のなかばからの100日間は,それを日課とした.漢詩は小説と同じく漱石の思想の表現である,と評した中国文学者が,学生時代から死の直前までに作られたうち160首に丹念な注釈を加え,その思想遍歴の跡を描き出す.