あらすじ『道草』は漱石唯一の自伝小説だとする見方はほぼ定説だといってよい.すなわち,『猫』執筆前後の漱石自身の実体験を「直接に,赤裸々に表現」したものだというのである.だが実体験がどういう過程で作品化されているかを追究してゆくと,この作品が私小説系統の文学とは全く質を異にしていることが分る. (解説・注 相原和邦)