あらすじ『「いき」の構造』で知られる哲学者九鬼周造(一八八八‐一九四一)は,また情趣に満ちた味わい深い随筆の書き手でもあった.敬愛していた岡倉天心の思い出と母への慕情とが,幼い日の回想のうちに美しく綴られた「根岸」「岡倉覚三氏の思い出」,偶然論を語りながら人生の無常に思いをはせる「青海波」など,二四篇を精選した.