あらすじ「しつこい,毒々しい,こせこせした,その上ずうずうしい,いやな奴」で埋まっている俗界を脱して非人情の世界に遊ぼうとする画工の物語.作者自身これを「閑文字」と評しているが果してそうか.主人公の行動や理論の悠長さとは裏腹に,これはどこを切っても漱石の熱い血が噴き出す体の作品なのである. (解説・注 重松泰雄)