あらすじここに収めた三篇は,いずれも作者最晩年の代表作.『玄鶴山房』の暗澹たる世界は,作者の見た人生というものの,最も偽りのない姿であり,『歯車』には自ら死を決意した人の,死を待つ日々の心情が端的に反映されている.『或阿呆の一生』は,芥川という一人の人間が,自らの一生に下した総決算といってよい. (解説 中村真一郎)