あらすじ数千年来の常民の習慣・俗信・伝説には必ずや深い人間的意味があるはずである.それが攻究されて来なかったのは不当ではないか.柳田の学問的出発点はここにあった.陸中遠野郷に伝わる口碑を簡古かつ気品ある文章で書きとめた『遠野物語』,および『山の人生』は,柳田学の展開を画する記念碑的労作である. (解説 桑原武夫)