【特集1】リベラルに希望はあるか
欺瞞、偽善、無力・・・・・・「リベラル」が批判と冷笑の対象とされるようになって久しい。
リベラルな価値を掲げる欧米諸国においても、ウクライナ戦争、ガザ人道危機の深刻化を経て、その「法の支配」や「普遍的人権」が現実にはなにを意味するのか、二重基準がいっそう鋭く指摘されている。また、ポピュリズムの台頭によって排外主義が高まり、社会における多様な個人、価値観の共存が揺るがされている。
日本のリベラルとはなにか。
平和主義との結びつきは過去のものとなるのか。
歴史的ななりたち、根源的な批判をふまえ、その可能性を探る。
【特集2】受験という迷路
子どもたちは苛烈な競争の渦中にある。そして親たちは「我が子の将来」のために「降りられない競争」に没入する。
その競争は、公正に行なわれているのだろうか。
子どもたちの心に大きな「傷」を残すことはないのだろうか。
親たちは不安を煽られてはいないだろうか。
人生の岐路として、9割以上の生徒が少なくとも一度は経験している受験。その経験を「自分事」ではなく社会の問題として捉え直すと、何が見えてくるのだろうか。
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■特集1 リベラルに希望はあるか
戦後日本の「リベラル」と平和主義─その所与条件と歴史的経緯・・・・・・小熊英二(慶應義塾大学)
『世界』の起源・・・・・・石川健治(東京大学)
〈座談会〉「リベラルである」とはどういうことか─今そこにある問題から考える・・・・・・杉田 敦(法政大学)×五野井郁夫(高千穂大学)×池田弘乃(山形大学)
現代の政治的対立軸とは何か─日欧の福祉国家再編をめぐって・・・・・・田中拓道(一橋大学)
絶望と希望が隣り合わせのこの世界で─なぜ行動するか・・・・・・畠山澄子(ピースボート共同代表)
安倍派パーティー券事件の深層・・・・・・上脇博之(神戸学院大学)
〈ルポ〉岸田首相と統一教会─関連団体トップとの写真流出の裏側・・・・・・鈴木エイト(ジャーナリスト)
娯楽としての暇アノン─SNSで扇動される誹謗中傷・・・・・・安田浩一(ノンフィクションライター)
〈新連載〉島に帰る 第1回 ホームとフィールド・・・・・・榎本 空(エスノグラファー)
〈追悼〉ぼくたちは山田太一でできている─巨匠から届いた二〇通のハガキ・・・・・・渡辺一史(ノンフィクションライター)
世界の潮
COP28 化石燃料からの脱却に「合意」できたのか?・・・・・・深草亜悠美(FoEJapan)
国立大学法人法改正 運営方針会議をめぐる謎・・・・・・米田俊彦(お茶の水女子大学)
オスプレイ 生産停止へ─放置され続けた欠陥・・・・・・平安名純代(沖縄タイムス)
■特集2 受験という迷路
受験後遺症の大人たちが子どもを追い詰める・・・・・・鳥羽和久(作家)
不正入試事件が示す社会的空気・・・・・・中村高康(東京大学)
〈対談〉小学・中学受験のリアル・・・・・・小針 誠(青山学院大学)×森 いづみ(日本学術振興会特別研究員)
見すごされる高校受験のなかで・・・・・・相澤真一(上智大学)
うちの子は特別だから─少子化、独自性、韓国の「教権崩壊」・・・・・・朝比奈祐揮(韓国外国語大学)
スケッチ 「問い」へのアプローチ・・・・・・小川 哲(小説家)
夜店 政治とエビデンスの複雑な関係─なぜ「合理的な政策」は困難なのか?・・・・・・杉谷和哉(岩手県立大学)
〈対談〉欲望・身体・美─問いとしての障害・・・・・・キム・ウォニョン(作家)×伊藤亜紗(東京工業大学)
AIをクィアする─プロメテウスの子どもたちはどこへ行くのか・・・・・・清水知子(東京藝術大学)
給食費無償化はなぜ必要か?・・・・・・福嶋尚子(教育行政学者)
所得再分配の壁─世論調査と実験からの模索・・・・・・松本朋子(東京理科大学)
イスラエル 展望なき強硬姿勢のパラドックス・・・・・・辻田俊哉(大阪大学)
壊れた対話を取り戻す─原発事故をめぐる対話メソッドと哲学者の思考・・・・・・星 暁雄(技術ジャーナリスト