月刊誌『科学』は1931年に石原純、寺田寅彦らによって創刊された総合科学雑誌です。第一線の研究者がみずから執筆し、科学に関心を寄せる多様なバックグラウンドの読者に向けて、高度な研究成果を紹介することが、創刊以来変わらない本誌の大きな特徴です。純粋に知的好奇心をかきたてる話題から、社会との関わりの深い話題まで、幅広く取り上げます。
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【特集】富士山噴火に備える
活火山である富士山は300年以上噴火しておらず、いつ大噴火が起きても不思議ではない。最近の地質調査が明らかにした富士山の噴火史や、地下構造を探る試み、ハザードマップの改定、降灰シミュレーションの成果、防災上の課題などを報告する。
■目次
[イントロダクション]
富士山噴火に備える・・・・・・藤井敏嗣
[噴火史]
富士火山の噴火史・・・・・・山元孝広
宝永山は降り積もってできた火砕丘である・・・・・・馬場 章
噴出物から読み解く富士山のマグマ供給系・・・・・・安田 敦
[現状]
富士山のモニタリング――地下では何が起こっているか?・・・・・・藤田英輔
[地下構造]
電磁気的観測で地下構造を探る――マグマ性ガスの上昇と電気比抵抗構造・・・・・・相澤広記
富士山の地下構造を地震波から探る・・・・・・中道治久
[地下構造を探る新手法]
桜島のリアルタイム透視・・・・・・田中宏幸
世界初の多方向3次元透視が明らかにした大室山の内部構造・・・・・・小山真人・宮本成悟・長原翔伍・鈴木雄介
[防災]
富士山ハザードマップの改定・・・・・・吉本充宏
宝永噴火の降灰シミュレーション・・・・・・萬年一剛
都市が火山灰で覆われたらどうなるか・・・・・・久保智弘・石峯康浩
火山灰で覆われた道路を車両は走れるのか・・・・・・西澤達治
富士山噴火の降灰が首都圏のインフラに及ぼす影響・・・・・・伊藤哲朗
富士山噴火と防災情報・・・・・・地引泰人
[巻頭エッセイ]
火山専門家の育成・確保が急務・・・・・・藤井敏嗣
病理標本の保管に関する提案――自然史標本との比較を通して・・・・・・伊藤真理子
[連載]
広辞苑を3倍楽しむ116 分岐・・・・・・三浦 徹
これは「復興」ですか?64 「知らない間に」消されるふるさと・・・・・・豊田直巳
数学者の思案2 フィールズ賞と国際数学者会議・・・・・・河東泰之
3.11以後の科学リテラシー114・・・・・・牧野淳一郎
[科学通信]
学生の取ったデータは誰のものか・・・・・・小林信一
次号予告