妻の病をきっかけに隠居を決めた、南町奉行所定町廻り同心の日暮慶一郎。だが、養子を迎えて家督を譲ったものの、ふたり寄り添う日々は短く、呆気なく妻の千代は亡くなってしまう。
養子の新之助との暮らしに気詰まりを覚えた慶一郎は、岡っ引きの亀次郎が営む船宿「大黒屋」に居候し、一日のうち半分眠っているようなのんびりした毎日を送ろうという思いから、名を「日暮半睡」と改めた。
今は勝手気ままに飄々と暮らす半睡だが、もとは新陰流の免許皆伝、難事件をいくつも解決してきた南町一の腕利き同心。そんな半睡と真面目一方の新之助、型破りの親子同心がさまざまな事件の裏に潜む悲哀を裁く。
気鋭が贈る書下ろし人情捕物時代小説。