バーンスタイン公爵家の一人娘であるイリスは、十歳のある朝、気付いたことにショックを受けていた。
「真面目だけが取り得なアラサー女子が悪役令嬢イリス・バーンスタインに転生するなんて……」
どうやら乙女ゲームの世界に転生してしまったようだ。
しかも序盤までしかプレイできなかった乙女ゲームに。
しかもイリスとして生きてきた記憶がない。
侍女に話を聞こうとするも、これまでの侍女に対する扱いがあまりにも酷かったようでみんな怯えてしまっている。
そんな状態なのに、半年後には二つ年上である王太子アルフレッドとのお見合いが控えているという。
イリスの父であるバーンスタイン公爵は、娘の記憶喪失は伏せたまま参加させる意向で、完全に逃げ場がなくなってしまった。
不安でいっぱいになりながらもお見合いに挑むイリスだったが、紳士的に迎えてくれたアルフレッドのおかげで気持ちが楽に。
そして、自身の緊張が解けていくにつれてアルフレッドの体調が優れないことを察するのであった。
イリスは前世の記憶からいろいろとアドバイスをすると、それを実践したアルフレッドの体調はみるみる回復した。
アルフレッドは調査をしていたため、イリスが評判通りの性格だということを知っていたが、どうも様子が違うイリスに興味を持つーー。
悪役令嬢としてのバッドエンドを回避しつつ、アルフレッドとの婚約も回避して平穏な生活を送りたかったのだが、原作通りアルフレッドの婚約者になってしまうイリス。
監禁、追跡魔法も合法的に鮮やかに行ってしまうヤンデレ王太子から、真面目な悪役令嬢は逃げられない!?
『真面目な悪役令嬢はヤンデレから逃げられない(5)』には「第十七章 独白(side.ニーナ)」(後半)~「書き下ろし それからの日々」を収録