人々の生活とともにあって、豊かに息づいていた、超自然的な生きものたち――
フェアリー、エルフ、ゴブリン、ドワーフらのイメージは、どう形成され、愛されてきたか。
イギリスが育んできた、妖精信仰と文学的空想を解き明かす。
妖精文化を深く知るための基本書!
翻訳は、英文学者・比較文学者で、妖精学の第一人者、井村君江です。
=====
妖精を無視して、果たしてシェイクスピアが正しく理解できるだろうか、
チョーサーの『カンタベリー物語』は十分に語れまいし、
マーローやミドルトン、ベン・ジョンソンらの理解も半端になろう。
本書は、イギリスに古代から存在したと想像されていた
さまざまな種類の妖精を、その発生から17世紀まで、
主として「チュートン神話のエルフ」「ケルト伝説のフェアリー」
「アーサー王伝説のフェ」の三点に集約しつつ、
その変遷を辿ったものだ。
イギリス人の心の奥底の根深いところに、
妖精たちはさまざまな姿をとって連綿として生きているのである。
=====
井村君江の評論「英国妖精流離譚」も収録