東京、埼玉、山梨、長野の一都三県にまたがる雄大な山塊、奥秩父。
「日本百名山」のうち、金峰山、瑞牆山、甲武信岳、両神山、雲取山、大菩薩嶺の六つを数え、荒川、千曲川(信濃川)、笛吹川(富士川)、多摩川を生み出す水源の山でもある。山域全体を原生林が覆い、山肌には深い谷が刻まれ、日本独特の重厚な雰囲気を醸し出している。
本書は、奥秩父に40年以上も通い、この山脈に深い愛情を持つ著者の視点で奥秩父の魅力を新たに見つめなおすとともに、山腹にいまもかすかに息づく仕事道、かつて山に暮らした人々の光芒、古い歴史を持つ峠道、山小屋を守る人たちなど、開発や林業の衰退などによって大きく変わった一方、何ひとつ変わらないものもたくさんある奥秩父の全貌を紹介。
山の専門誌「岳人」に連載したものを大幅に加筆してまとめた。